パチンコ店の店長──派手なイメージと裏腹に、現場ではどんな日々が繰り広げられているのか。今回は、都内で中規模のパチンコホールを任されている現役店長のKさん(40代)に、仕事の楽しみ、苦悩、そして業界の未来や家族との両立について、率直にお話を伺いました。
■「数字と現場、両方が見えてくる。それが面白さです」
――まずは、店長として働く中で感じる“やりがい”について教えてください。
Kさん:
やはり、店舗全体の動きが「数字」として見えるところですかね。稼働率や売上、新台入替の効果なんかを分析して、「この機種が当たった!」という手応えがあった時は嬉しいですね。戦略がハマると、達成感があります。
あと、やっぱり常連のお客様とのやりとりですね。名前は知らなくても、顔を見るだけで「今日も来てくれてるな」と分かる関係って、あるんですよ。何気ない会話が仕事の中にあると、ホッとするし、それが意外とモチベーションになったりもします。
■「苦労は多い。でも、それが店長の仕事ですから」
――逆に、苦労する点やしんどいと感じることはどんなことでしょうか?
Kさん:
クレーム対応はやっぱり神経を使いますね。台の不具合や出玉に対する誤解で怒られることもありますし、「遠隔操作してるんじゃないか」なんて言われることもあります。実際はそんなことないんですけど、納得してもらうには冷静な説明と対応力が必要です。
スタッフのマネジメントも悩みどころです。人の入れ替わりも多いので、新人教育からメンタルケアまで、けっこう幅広く関わらないといけない。スタッフ間のトラブルに間に入ることもありますしね。店長って、“数字を見るだけ”じゃ全然済まない仕事なんです。
■「家族の笑顔が、一番のエネルギー源です」
――お仕事と家庭とのバランスについても伺いたいです。パチンコ店は休みも不規則だと思いますが…。
Kさん:
そこは正直、大変ですね。うちは年中無休の店舗で、しかも土日祝が一番忙しい。なので、娘の学校行事に参加できないことも多いですし、「パパ、またいないの?」と言われると胸が痛みます。
でも、だからこそ一緒にいられる時間はめちゃくちゃ大事にします。休みの日はできるだけ仕事のことを忘れて、家族との時間に全振り。娘と遊んだり、嫁と外食行ったり。それが、仕事を頑張れるエネルギーになってるんですよ。
■「業界の未来は厳しい。でも、可能性はゼロじゃない」
――昨今、パチンコ業界を取り巻く環境は大きく変わってきています。その点についてどう感じていますか?
Kさん:
お客様の数は減ってますし、若い人は来なくなりましたね。スマホゲームとか、YouTubeとか、他に娯楽が増えてますから。規制もどんどん厳しくなって、新台の導入にも慎重にならざるを得ない。
でも、それでもこの業界には“楽しみ”の可能性があると思っています。例えば、居心地のいい空間を作ったり、初心者にも優しい店舗づくりをしたり。「ギャンブル」ではなく「エンタメ」としての価値をどう再構築できるか、そこが問われてるんじゃないでしょうか。
■「人が好きじゃないと、たぶん続けられない」
――最後に、パチンコ店で働くことに興味のある人や、今後この業界に入る若者たちにメッセージをお願いします。
Kさん:
この仕事、数字に強いとか、体力があるとか、いろいろ求められますけど、一番は“人が好き”って気持ちがないと続けられないと思います。
お客様もスタッフも、結局は“人”なんですよね。機械を管理する仕事じゃなくて、人間関係を育てる仕事。だからこそ、やりがいもあるし、感動もある。もし興味があるなら、一度ホールに足を運んで、働く人の表情を見てみるのもいいと思いますよ。
編集後記:
パチンコ業界は、今まさに大きな変化の渦中にあります。そんな中で、現場の最前線に立つ店長が見ているのは、単なる“勝ち負け”ではなく、「人」と「未来」でした。
Kさんの言葉からは、現実の厳しさと、それでもなお前を向く誠実な姿勢が伝わってきました。パチンコという世界の奥深さ、そこに働く人たちの人間味に、少しでも触れていただけたなら幸いです。